「観音湯」は入善町に唯一残る、昔ながらのお風呂屋さん。様々な種類のお風呂があり、薪を燃やして沸かしたお湯は、少し熱めで地元では大人気のお湯ですぞ。
昭和の雰囲気漂うレトロなお風呂屋さん
観音湯が創業したのは昭和33年(1958年)のこと。当時は町のあちこちに銭湯がありましたが、現在入善町に残る銭湯は、観音湯だけ。そんな観音湯も、2018年に店主がご病気のため閉店し、一時は入善町から銭湯の灯が消えました。しかし、地域の憩いの場として愛された場所の復活を望む声が相次ぎます。そこで手を挙げたのが、町の若手経営者が集まって活動している「合同会社 善商」。代表の浜田雅弘さんも幼い頃から観音湯に通い、町から銭湯の灯を消したくないという強い思いがあったことから、後継者が現れるまでの繋ぎ役として令和2年(2020年)、観音湯の経営を引き受けました。
「観音湯」と看板を掲げる建物の中に入ると、男湯と女湯の暖簾の間に番台、そして、アイスや牛乳を片手にテレビを見ながら休める休憩所があります。現在は入浴料金や飲料は全て券売機でのお会計ですが、17時までは番台にスタッフが常駐しており、昔ながらの銭湯の雰囲気が今も残っています♪
地域の愛で体も心もぽっかぽか
お風呂は電気風呂や泡風呂、エステバスや薬風呂など種類様々。サウナは休業中ですが、その日の気分や体調に合わせたバスタイムを楽しめます。
昔から湯加減は熱め。現在も一般家庭のお風呂よりは熱めの温度ですが、初めてご来店される方も多いので、熱さ加減をやや優しめに調整しています。また、当初は重油バーナーも併用してお風呂を沸かしていましたが、重油バーナーの老朽化により、現在は薪だけでお風呂を沸かしています。薪風呂は、薪を燃やす際に出る遠赤外線効果が期待されており、体が芯から温まる感じがしますよ♪
燃料となる薪は、合同会社 善商に属する建設業のメンバーや、地域の企業より不要な木材をいただき調達しているそう。男湯、女湯それぞれにある富士山の絵画も、地域の方からの贈り物。その他、継承時の設備投資も地域の皆様の協力によって行われ、浴室内一つ一つの鏡には、協賛企業の広告が貼ってあります。地域の方々の愛がギュッと詰まった観音湯は、体だけでなく、心もぽっかぽかになります。
時代に合わせて繋がれる灯
家庭にお風呂が当たり前にある現代、銭湯の概念も「生活の中でお風呂に入りに行く」から、「銭湯が好きでお風呂に入りに行く」に変わりました。今では、ご近所の銭湯ファンが足を運ぶ観音湯。館内を案内してくださった合同会社 善商の代表 浜田雅弘さんは「今後これが、町全体の銭湯ファンに広がると嬉しい」とおっしゃいます。毎年、11月26日(いい風呂の日)にイベントを開催したり、銭湯スタンプラリーに参加したりと、集客方法も工夫されています。人手不足など経営面で大変なこともありますが、メンバーの皆さんで協力し、挑戦し続けているご様子。観音湯でのトライ&エラーは、皆さんの本業に活き、貴重な経験になっているそうです。
創業当時から地域の方々の愛は変わらず、時代と共に進化する観音湯。この先いつまでも、入善町唯一の昔ながらの銭湯として、受け継がれてほしいですね。
〈温泉概要〉
浴場(男女各1)※サウナは現在休業中です。
【観音湯】
富山県下新川郡入善町入膳5050-1
TEL 0765-74-1126
営業時間:14:30~21:30(最終受付21:00)
定休日:月・水・金
入浴料:大人(中学生以上)470円/小学生150円/乳幼児70円
(2024年12月26日)