富山・黒部・宇奈月・魚津・入善・朝日のことを教えて、達人!黒部講座

恵みの多き富山 黒部の里。美しい自然に囲まれ、おいしい海の幸・山の幸が満載のまちです。そんな土地を知り尽くした達人たちに、暮らしのなかで感じる魅力を伝授してもらいます。

46回 達人(1/2)

「手仕事の技を受け継ぐ畳職人」

畑良造さん(畑畳店代表)
畑隆志さん(畑畳店3代目)

手縫いの技術
畳の手縫い

富山県朝日町で畳店を営む畑良造さんは、畑畳店の2代目として高校卒業後に畳職人の道へと進まれ、仕事をしながら腕を磨いてこられました。また、3代目の隆志さんも畳作りの基礎を埼玉の専門学校で学び、昔ながらの手縫いの技術を身に付けました。その腕は確かなもので、お二人とも1級畳製作技能士という国家資格を持っとられるがですよ。
畑畳店では、手縫いの技術を大事にしとられます。現代の畳作りは機械作業が多くなっとるがですけど、手縫い技術の有無で、機械で作業したものでも仕上がりに差が出てくるがだそう。「手で縫うという基礎をしっかり身に付けないと、応用がきかない。機械まかせにしていたら現場で状況に応じて調整することもできないし、何に気をつけたらいいのかも分からない」とおっしゃる良造さんは、「技術のない人は、『これでいいか』と妥協してしまう。それは職人とは言えない」とバッサリ。伝統の技を受け継ぐということは、単に「昔のやり方で作れる」というだけでなく、畳作りの本質を理解するということながですね。

90年続く畳屋さん

畑畳店は、良造さんの父・伊作さんによって創業されました。年代ははっきり分からんそうですが、昭和初期に始められたとのことで、なんと約90年の歴史があるがだそうです!
伊作さんは畳屋さんに弟子入り(徒弟奉公)し、修業の厳しさに他のお弟子さんたちが辞めていくなか勤め上げ、お礼奉公をした後に独立されました。工場には今も伊作さんが作った畳が保存してあり、藁(わら)と菰(こも)を何層にも重ね縫い合わせて作った『床(とこ)』と呼ばれる土台を見ることができます。当時はもちろんすべてが手作業で、かなりの重労働だったとか。「床の厚みが均一で、しっかり作ってある。親父はすごい職人だったんだとこれを見るたびに思う」と良造さん。同じ職人としての尊敬を込めてお話しされる姿に、親から子へ脈々と受け継がれる心意気と畳作りへの情熱を感じたがです。

初代伊作さんが作った畳
細部にこだわり

隆志さんが学生時代に作り、金賞をもらったという作品を見せていただきました。「僕は縁の"紋合わせ"が得意なんです。自分としてはこの角の縫い合わせがちょっとズレてて気になるけど...」と言われても、素人の目には全然分からんかったがです。「誰も見ないところかもしれないけど、職人としては気になる。もしお客さんのところに持っていくものだったら、これではダメだ、と思う」お客さんさえ気にしないところが気になってしまうのは、職人としてのプライドがあるから。納得のいくものしか作らないという姿勢が、仕上がりの差となってあらわれてくるがです。
今年の冬に、富山県内では唯一という最新の機械を導入されたがですけど、新しい機械を使うときも入念に畳の状態を見極めます。「機械でやれば生産性は向上するけれど、クセを読み取って人間が微調整してやらないと、きれいな仕上がりにはならない」縫っていく間に引っ張られる分を予測して、仕上がりが真っすぐになるように機械にセットする...なんて、畳のことを知り尽くしていないとできないことです。畳作りの機械化が進んでも、手仕事の丁寧さにはまだまだ及ばんがですね。

使い込まれた道具

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