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第9回 達人

「おいしいアワビは深層水で育てる!①」
熊谷敬之さん

(入善漁業協同組合 あわび課主任)

第9回 達人「おいしいアワビは深層水で育てる!①」熊谷敬之さん

海洋深層水が育てるアワビ

深層水でのアワビ畜養施設

今日は高級食材のために隣町まででかけるがよ!!

入善町では、平成13年(2001)に海洋深層水の取水施設を建設しました。入善沖の海底384メートルから海洋深層水をくみ上げるもので、町ではその清浄性や低温安定性、富栄養性に着目し、養殖事業に取り組むことになりました。とは言っても、入善漁協では育てる漁業のノウハウはなく、まずは何を育てるか、どうやって育てるか、というところから事業はスタートしました。
そのとき候補として挙がったのがアワビ。低温でも成育できて、商品価値が高い、ということでさっそく入善漁港の畜養施設で試験的に養殖が行われました。成長もよく、結果はまずまず。平成14年(2002)にはアワビ専用の養殖施設を整備し、本格的に養殖が始まりました。

全国初の取り組み

海洋深層水でアワビを育てるというのは、全国でも初めての取り組み。入善漁協では、これまで刺し網や定置網での漁業が中心で、養殖はまったく新しい分野でした。アワビの養殖のために職員を公募したところ、やって来たのが熊谷さんでした。
熊谷さんは岐阜県恵那市の出身。大学では水産を学び、カレイやアワビの研究をされていました。当時は、名古屋の東山動物園にお勤めでしたが、水産と畜産の違いを感じていたところ、友人から入善でのアワビ養殖の話を聞き、応募されたそうです。「深層水は、養殖に有利な条件がそろっていると思いました。普通の養殖なら、興味を持たなかったかもしれません。」
きれいな水で育てるため病気になりにくく、低温を保てるのでアワビがバテる心配も少ない。深層水の可能性を信じて始まった養殖事業でしたが、これまでに数々のご苦労もあったようです。

アワビの様子を見る熊谷さん

熊谷さんの好奇心と熱意が苦労も乗り越え、新しい挑戦を成功へ導いたのだのぅ!

アワビ養殖の難しさ

入善漁協では、3センチぐらいのエゾアワビの稚貝を買ってきて、深層水の水槽で約1年かけて成長させ、7センチぐらいのものを出荷しています。天然ものに比べるとやや小さめですが、肉厚でやわらかいのが特徴です。
アワビの成長は遅く、商品として出荷できる大きさにするまで時間がかかります。初年度は順調に成育したものの、2年目にアワビの大量死が発生。最初のうちは、じっとしているアワビの異常を見つけることができず、エサ不足で死んでしまう個体もありました。それでも、アワビの観察を続けているうちに、だんだんアワビの様子がわかるようになってきた、と熊谷さんはおっしゃいます。
「どうやってアワビを太らせるか、条件を変えて試しています。快適な水温よりもやや低めにすることで食欲が刺激されて、エサをたくさん食べてくれることもあるようです。」

海洋深層水アワビ