富山・黒部・宇奈月・魚津・入善・朝日のことを教えて、達人!黒部講座

恵みの多き富山 黒部の里。美しい自然に囲まれ、おいしい海の幸・山の幸が満載のまちです。そんな土地を知り尽くした達人たちに、暮らしのなかで感じる魅力を伝授してもらいます。

第3回 達人 (1/2)

「モーツァルトの名曲と黒部の名水で米づくり」

松島一郎さん、克美さん

殿はお一人でどこかにお出かけしたようです。

市姫:じぃ、父上の姿が見えぬが、どこかへお出かけか?

じぃ:えっ! 先ほどまでおられましたのに。またでございますか・・・(´ДÅ)

市姫:わたくしもお出かけしたかったがですぅ。遊びに行きたいがですぅ。

克美さんのお父様が書かれた、自慢の看板。
克美さんのお父様が書かれた、自慢の看板。

(そこへお帰りになったお殿様。)

太陽の守:いやー、雪道は大変であるの。

じぃ:殿! ご無事で何より・・・ですが、どこへ行っておられたのですか!!

太陽の守:いや、ちょっとそこまで散歩のつもりが、子どもたちの楽しそうな声がしたのでな、わしも一緒に混ぜてもらっておったのじゃ。

市姫:いいなあ~。わたくしも行きたかったがですぅ。

太陽の守:すまぬ、すまぬ。「荻生の館」の前を通ったら、味噌づくりをしておってな、わしも初めて見たのじゃが、なかなか面白かったぞ。

じぃ:黒部の里では、米だけではなく、大豆作りも盛んですから。この寒い時期に味噌を仕込むのでございます。

市姫:そのお味噌で、おいしいお味噌汁が飲みたいのぅ。

太陽の守:姫、味噌はすぐにはできないのだぞ。じっくり、ゆっくり熟成させるのじゃ。

市姫:そうなのでございますか?

太陽の守:食べ物を作るのは、一朝一夕にはできぬこと。姫にも知ってもらいたいことであるし、一緒に話を聞きにいこうかの!

市姫、むくれる。

荻生地区では食育活動が盛んですね。

克美さん:私は、1998年から荻生(おぎゅう)公民館に勤め、地域の行事にいろいろと関わってきました。黒部市の食生活改善推進協議会(食改)やJA女性部など、食育に関わることも多くて、ボランティアのようなものです。公民館の活動として、「放課後子ども教室」というのがあり、地域の方を先生にして、ハイキングに行ったり、大正琴やお茶を習ったり、昔遊びをしたり。昔遊びでは、けん玉、あやとり、こま回し、メンコ・・・地域のおじいちゃん・おばあちゃんも交えて、3世代交流ということでやっています。子どもたちがいちばん喜ぶのは、おやつ作り。水団子やピザなどを作ります。


一郎さん:こういう活動は、学校の協力がないとできません。荻生小学校は、公民館と近いこともあるし、歴代の校長先生はじめ、先生方が非常に熱心に取り組んでおられます。伝統が引き継がれていて、協力体制が素晴らしい。荻生は、田んぼが多くて、やっぱり農業だから、じゃあ、子どもたちにも体験させてみようか、と。学校側の姿勢がそうで、公民館や自治振興会が一緒にやろう、という感覚だから、うまくいっているのかな、と思います。

克美さん:2月2日に、5年生が味噌づくりに取り組みました。今年度は、担任の先生が意欲的で、子どもたちにいろいろなことを体験させたいということで、イネの苗の観察から、田植えもしたし、大豆の種まき、土寄せや草取りにも来て、刈り取りまでひと通りやりました。1年のまとめというか、最後の活動として、自分たちで育てて収穫した大豆(エンレイ)と、米(コシヒカリ)で味噌づくりをしたわけです。

一郎さん:「食育」と言っても、学校で、本で読んどるだけじゃダメながね。実際につくらせて、手を泥だらけにして、やればそれでいいが。体験させないと。

克美さん:味噌づくりにしても、手袋しとったら、感触がわからない。衛生面でいろいろ言われることもありますが、キレイに手を洗わせて、素手で味噌にさわってもらっています。

市姫、今度はわたくしもやりたいです!

子どもたちの食育活動に力を入れています。
子どもたちの食育活動に力を入れています。
日々の活動の記録など。楽しそう♪
日々の活動の記録など。楽しそう♪
「食育」と言っても、本で読んどるだけじゃダメながね。
「食育」と言っても、本で読んどるだけじゃダメながね

「荻生の館」はふつうの公民館とは違うのですか。

荻生の館は地域のみ方々が集まる場所です。

一郎さん:ここは、むかしの農家の建物を再現しているんです。

克美さん:今でこそ、黒部市には「館(やかた)」がたくさんできましたけど、この「荻生の館」がさきがけです。正式名称は「黒部市農村景観活用交流センター」といいますが、長いので「荻生の館」で通っています。できた当初は「公民館」の看板も出していませんでした。

一郎さん:黒部市の昔の公民館は、みんな同じ図面で作っとった。金太郎飴みたいに。でも、公民館というのは地域コミュニティの基本やから、地区の人たちが求めとるものを作らないといけない。地域の実情に応じて、みんなの意見を聞いて、あれが欲しい、これが欲しい、っていうのをまとめて、その地区に合うた建物(たちもん)をね。「荻生の館」は、荻生の人みんなで集まって、話し合って、『農家の理想郷』をコンセプトに据えてつくった。

克美さん:建物だけじゃなくて、庭の木も、なりものを中心にしています。リンゴ・ウメ・アンズ・カキ・キウイ・ブルーベリー・キンカン・カリン、昔の家にはこういう木がたくさんありました。

一郎さん:要は、ほかの「公民館」のイメージと違って、昔の、大きな百姓家。とれたものを自分のとこで加工して、消費する。昔の農業は、みんなそいがやった。ただの公民館なら、こんなに広くなくていい。農業体験施設、ということで、こんなに立派なものをつくったわけ。木造で、木もふんだんに使って、床も角材にして。

克美さん:調理室も、「体験実習室」という名前になっています。味噌をつくったり、漬け物をつくったり。調理もするんですが、自分たちのところでとれたものの加工が中心です。

一郎さん:ここは、黒部市の施設なので、荻生以外の人にも利用されています。「公民館」と言えば、地区のもの、という感じだけど、「荻生の館」は誰でも使えるが。

むかしの農家の建物を再現。
むかしの農家の建物を再現。
果樹中心のお庭の木。
果樹中心のお庭の木。
むかしの農家を思わせる、水車もあります。
むかしの農家を思わせる、水車もあります。

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